2021年は国家資格をいくつか受験する予定です。勉強は独学で進めています。独学をめぐっては、動画サイトなどでその知見と方法を説く書籍『独学大全』(著・読書猿)が話題になっており、私もkindle版は購入していました。書籍版で800ページ近くある大著です。いまだに読破できていません。
このほどオーディオブック配信サービスのaudiobook.jpが『独学大全』を配信するというので、耳の力も借りるべく、購入してみることに。
朗読者は和村康市さんという方でした。どこかしら老成したお声の持ち主です。しぶくて低い男性のお声は教えを諭す本の内容にぴったり。著者と錯誤しそうなほどなじんでいました。
ちなみにkindle本でも合成音声で読み上げさせることはできます。音読・訓読などの読み間違えは多々あり、耳学ももちろん可能ではありますが、合成音声は目で文字を追う読書の補助的な位置付けではないでしょうか。あくまで読み上げであり、朗読の域には達していないと感じます。
一方、人による朗読はそれ自体でおおむね完結しており、聞き手は本を手放して身を委ねられるような安心感があります。肉声には合成音声にはない心地よさもあります。
とはいっても、変に抑揚があったり、芝居がかりすぎる朗読を聞いていると違和感は生じます。下手だったり、ミスキャストが生じたりした朗読は聞くに堪えません。その場合は、質でぶれのない機械の読み上げの方が優れています。どのような質の朗読と出合うかは、人の出合いと同じで運しだいなんですよね。
audiobook.jp版のオーディオブック
メリット・デメリット
他の作業をしながら、読書をできる。大著も挫折せずに最後まで読むことができる……。これらは大きなメリットでしょう。これ以外にもメリットがあります。PCにMP3データをダウンロードでき、iTunesのような音楽アプリを使っても聴けることです。
音声ファイルは章などの区切りで分割されています。音楽再生アプリで再生すると、ランダム再生やリピート再生が可能です。あたかも音楽のアルバムに収められた曲を再生するように。
各章をランダムに再生できることは私にとって重要なメリットなのです。何度も読んだ本から思わぬ気づきを得ることもあります。
デメリットはあまり思い浮かばないのですが、限られたお小遣いから捻出するには費用がかかるところでしょうか。例えば『独学大全』はkindle版だけなら2495円。audiobook.jp版も買うと3080円……。合計で5575円です。
朗読を部屋で聞きながら仕事や作業をすることがままあります。作業の疲れを癒やしてくれるナレーターの声質と本の内容ならば、孤独に挑まなければならないテレワークの効率も上がってきます。私の生活のなかで朗読を聞くことは、音楽の役割と似ています。