SDGsの「持続可能な」(Sustainable)はどんな意味?

スカイラー・ショルマンさんの話を聞く高校生たち(東京・新宿区、撮影=筆者)

定員40人の会場に集まった参加者へ進行役がこう質問しました。

「持続可能な開発目標(SDGs)の『持続可能な』(Sustainable)はどういう意味なのか、みなさん考えたことありますか」

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Sustainable、英語圏では

東京・新宿区の会場で「SDGsとわたしたちにできること〜英語と日本語で考える国際協力〜」と題して、認定NPO法人アジア・コミュニティ・センター21(ACC21、東京・文京区)主催のトークセッションが行われました。

日本では「持続可能な」という言葉を日常言語であまり使わないものですから、あまりピンとはきません。このはっきりしない疑問に、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)でグローバル・スタディーズを専攻する大学3年生スカイラー・ショルマンさんが登壇。米国での使われ方を踏まえ、ネイティブの語感レベルからの解説がされました。

ショルマンさんは大学で歴史、政治、経済を横断する国際分野において、アジア地域における開発の研究をしているのだそうです。

 

人とのつながりでも

2015年にニューヨーク国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催されて以来、日本においても意識されるようになったSDGs。この「S」に当たるSustainableは「持続可能な」と日本語訳され、持続可能な開発としては「クリーンなエネルギー」「使ってもなくならないもの」等の解釈がされています。

ショルマンさんによると英語圏では「Sustainable Relationship」という言い回しに見られるように、Sustainableはエネルギー分野だけではなく人とのつながりを示す言葉としても使われています。何かが消費されており、それが無くならないようにしなくてはならない語感もあると述べました。

「持続可能な」という意味を持つ言葉なら、他にもいろいろあります。例えば、Continuousにはそれ自体が続いていくイメージがあります。一方、Sustainableは続けさせなけなくてはいけないという捉え方が含まれていると説明しました。

語源に目を向けるとsusには「下側」「下の方」、tainには「つかむ」「支える」という意味があります。「支える」意味合いが母体にあり環境エネルギーの解釈の土台につながっていきます。17項からなるSDGsのゴールにしても土台にはこのイメージがあると語りました。

国際協力の障壁と架け橋となるもの

ショルマンさんは2019年6月から8月までサマーインターンとして来日し、国際協力NGO・ACC21の活動に参画。SDGsの啓発やボランティア活動が活発な大学生活を送る中で貧困問題や環境問題に関心を持つようになったそうです。

この日のイベントでショルマンさんは国際協力の障壁(バリアー)として言語政治の問題を指摘し、架け橋となるものとしてShared Interest/Mutual Benefit(相互利益)④若者の力を挙げました。

国際協力の障壁①として、海外では自分の母語ではない人とコミュニケーションをする上で、言語は障壁になりやすいと指摘。米国人のショルマンさんであっても英語だけでは足りず、現在は日本語の勉強もしているそうです。成功事例としてペルーで取り組んだ水道設備プロジェクトを挙げ、現地政府との協力や許可を得ること等でチームメンバーがスペイン語を話せたことが役立ったと述べました。の事例としては、米国が実施しているキューバへの法的規制等を挙げました。人々の交流を難しくし、困っている人がいても助けることは容易ではないとして、政治的な課題が横たわっていると指摘しました。

架け橋となる在り方として「Shared Interest/Mutual Benefit」(相互利益)が必要だとして、「一方が徳をする」「与える」という在り方ではなく、双方に利益があることによって信頼関係が作られると述べました。として「若者の力」を挙げ、国際的な変化に対応できることを重要視しました。自発的に関心を持ちアクションを起こすことが国際協力の世界では重要になると強調。この他、なぜ「国際協力が必要なのか」、UCバークレー等のアメリカの大学でのSDGsに取り組みなどについても報告しました。

国際協力の架け橋として「若者の力」を強調したショルマンさんでしたが、くしくもこの日、会場の半数近くを占めていたのは高校生たちでした。参加した理由を近くにいた高校生に尋ねてみますと、夏休みの宿題に「持続可能な開発のための2030アジェンダ」についてのレポート提出があるからだそうです。日本の教育現場の取り組みも、参加した生徒たちの後ろ姿から垣間見ることができたイベントでした。

ACC21は、アジア12カ国の100を超える現地NGOとのネットワークを基盤に、2005年からアジアの貧困層の支援に取り組む国際協力NGO。地球を1つのコミュニティと捉え、その一員としての意識を持った「地球市民」(GlobalCitizen)の人材育成にも力を入れているそうです。興味を持たれた方は下記のホームページをのぞいてみてはいかがでしょうか。

http://www.acc21.org/

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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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