ビジネスシューズの履き口(はきぐち)が破け、小さな割れができました。シューキーパーを入れ、クリームで定期的にメンテナンスし、脱ぎ履きにも気を使っていたのに……。
今後の選択肢は3つです。捨てる、ダメージを楽しむ、修理する。10年以上も使い続けたので、捨てるのは心が痛みます。何もしなければ割れが広がりそう。ダメージを楽しむ気分にもなれません。
駅中にある靴修理店「ミスターミニット」で修理の見積もりをお願いしました。割れ1カ所につき1500円。V字に折った新たな革パッチで内側と外側を挟みます。
「外側にもパッチを当てる?!」。修理方法を聞いてひるみ、いったん修理は保留にしました。職人さんもあまりお勧めしないと言わんばかりの顔つきです。継ぎ接ぎのある靴で会社に行けるのかも疑問でした。
あれから1週間。「チャールズパッチ」という言葉を知りました。プリンス・オブ・ウェールズ、チャールズの革靴に由来します。彼は革パッチの補修で40年以上も愛用している靴があるそうです。
「チャールズパッチ」でネット検索してみますと、継ぎ接ぎのある革靴の画像がヒットします。目立たないものから、個性的なものまで様々です。徐々に奥ゆかしく見えてきました。長く生きた人間の顔に彫り込まれる「しわ」のような味を感じます。
気が変わりました。ミスターミニットの提案がチャールズパッチと言えるのか定かではありません。ここは試しに1500円の投資をしてみることにします。どのような結果になったかは追ってリポートします。