ハラスメントの終焉
後日、セクハラ・パワハラ元上司がアルバイトで出社してきました。すると、すぐに個室に呼び出されていました。しばらくすると真っ青な顔をして出てきて、私を呼びました。泣きそうな顔をして「あなたには本当に申し訳ないことをした。あなたの人間性を否定することばかり言った」と反省と謝罪を申し出たのです。
それを受け止め「もういいですよ、水に流しましょう」と笑いながら返事をしました。本当は水に流すなんて無理です。しかし、これからも顔を合わせる関係のため、ここでケンカしてもいいことはないと思ったからです。謝罪をしてくれたことで気持ちが楽になりました。
「もっと早く言ってくれればよかったのに」とも言われました。しかし、元上司を何度か会社の個室に呼び「きついことを言わないでほしい」とお願いしたことがあったのです。すっかり忘れているのです。父の言う通り、きついことを言う人は言ったそばから忘れるようです。今でも週に何度か出社します。ただ、あいさつする程度です。目も合わせなくなりました。
まとめ
ここまでひどいことを言われても、なぜ退職せずに会社に残ったのでしょうか。それは元上司以外に不満がなかったからです。元上司は約20歳年上のため、早く退職するだろうから我慢するのも期間限定だろう、という気持ちもありました。仕事はある程度任され、得意な仕事をしているので満足感があります。何よりも「会社に大切にされている」と実感できることが何度もあり、今まで働き続けているのです。
本当に困ったら逃げるのも一つの手でしょう。「この人はある時期がきたらいなくなる」とわかっていましたので、残ることを選びました。自分がどんな状況のときに落ち込み、立ち直りに時間がかかるのか、よくわかりました。そして自分が元気になる方法もわかってきました。
腑(ふ)に落ちたのは、ある本で読んだ「諸行無常」という言葉です。辞書によると諸行無常とは、『この世の万物は常に変化して、ほんのしばらくもとどまるものはないこと。人生の無常を言う仏教の根本的な考え。』(出典:新明解四字熟語辞典)と解説されています。その通り、すべてのものは今のこの瞬間も変化し続けているのです。もちろん人の心も常に変化し続けています。不変の存在は存在しないのです。(了)