ブログやサイト運営で悩ませるのは、画像の「引用」です。著作権をクリアしておきませんと、ある日突然、権利者から訴えられることもあります。
写真を使いたいけど使えない、弱味を強味に変える
私自身の闇歴史を明かせば、2015年ごろ、あるバイラルメディアで「中の人」としてあこぎな仕事をしていました。本当に殺伐とした職場でした。
当時、画像引用をめぐる業界ルールは明確になっておらず、「とりあえずYouTubeのスクリーンショットなら大丈夫だろう」という程度の認識でした。
以上はバイラルメディア業界の勝手な解釈にすぎません。弁護士ドットコムなどを読んでいると、「アウト」という解釈がおおかたのようです。
では、いったいどうすればよいのでしょう? 創作性のあるイラストを描けば、多くの問題が解決できます。
写真の方がリアルよりもリアルな情報を伝えます。ブログに貼りつけて利用できるTwitterやFacebook、Instagram、ゲッティ イメージズ(Getty Images)のロイヤリティフリー画像などはなるべく使いこなしたいところです。しかし、これらの画像はサーバーに保存できないので、アイキャッチ画像には使えません。こうしたシーンでは、はやりイラストを使う必要があります。
皮肉な話ですが、イラストを描くにあたり、必要なものも写真です。歴史資料が必要だからです。たとえば、20歳のジミ・ヘンドリックスを描くにあたり、彼なる存在はこの世にいません。ここで蛇足ですが、画家と写真の関係は切っても切り離せないものがあります。画家フェルメールもカメラを使っていたという研究もあるくらいです。
イラストは「ヘタ」に描ける技術が必要
ところが、写真資料と同じようにリアルに描いてしまうと、創作性がなく、著作権問題をクリアできなくなります。使えるイラストとは、必ずしもスーパーリアリズムのことではないのです。
速く描き上げる必要もあります。例えば、原稿を60分で仕上げたとしたら、イラストは10分程度が望ましいです。この兼ね合いは書くモチベーションです。あくまでイラストは写真の代用にすぎず、コンテンツの主役ではありません。記事の主役はあくまで内容です。しかも、描くことに時間がかかりすぎると、書くモチベーションが下がります。
こうした時間的な制約は、創作性を生み出すうえで、結果的によい効果をもたらします。上手に描けず、「ヘタ」になります。不快な出来はもってのほかですが、単なるヘタさなら天然の画像フィルターなので歓迎するべきです。世間では、これを味とか、才能と呼ぶこともあります。
創造性を付加するために、思いつきレベルで、コラージュにしてみたり、表情をつけたりして、描き手のウィットやエスプリを封じ込める必要もあります。それらのアイデアは、読み手に理解されなくてもまったく問題ありません。なぜなら、再三申し上げるとおり、記事においてイラストは脇役にすぎないからのです。大切なのことは、優れた芸術性ではなく、創造性の有無です。むしろ本当は写真を使いたいくらいなのですから。しかし、イラストによってサイトの守備範囲はグッと拡がります。
イラストが描ける(人がいる)ということは、ブログを一気に音楽や映画批評サイトにだけでなく、ニュースサイトにすら成長させる可能性を含んでいます。もし、書き手に文才と取材能力があればなのですが。
ものぐさなバイラルメディアの人たちは、これができません。弱みを隠して生き残ってきたサイトは、いずれ没落してゆきます。(DeNA「WELQ(ウェルク)」のように)。一方、著名記事を書くブログやニュースサイトは、たとえ弱小であっても、弱みを強みに変えて成長できる可能性を持っています。
当ブログでも、2015年ごろに書かれたアイキャッチ画像などは、引用の範囲を意識はしているもののわれながらグレーです。徐々にイラストに変えてゆこうと思っています。