手塚治虫の伝説の名作『新宝島 』を電子書籍で読む。おすすめ点と注意点。

出典:Macで見た『新宝島 手塚治虫文庫全集』。No.2/336,株式会社 講談社

手塚治虫の名前から、どのような作品を思い浮かべますでしょうか。「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブッダ」「ブラックジャック」「アドルフに告ぐ」…。不朽の名作だけでなく、デビュー当時の初期作品も感動的で見逃せないものです。

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『新宝島』、70年前に描かれた幻の名作

初の長編作『新宝島 』は、1947年に発行された手塚治虫のベストセラーです。2017年12月29日付の日本経済新聞・朝刊一面コラムでは、藤子不二雄の例を挙げて、作品が与えたインパクトを紹介していました。

ページをめくって、僕は目のくらむような衝撃を感じた――。藤子不二雄さんは自伝でこう書いている。手塚治虫の長編デビュー作「新宝島」に出会ったときの感動だ。「まるで映画を観(み)ているみたい」と。のちに戦後マンガの原点ともたたえられた、伝説的な一冊だ。

出典:2017年12月29日朝刊、(閲覧日:2017年12月29日金曜日 )

マンガ史上のエポックメイキングとなった『新宝島 』。極めて重要な作品の影響を受けたのは、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、さいとうたかをといったマンガ家たちに限りません。小松左京、横尾忠則、宮崎駿といった多方面の作家たちにも及びます。『新宝島』という名作とは、いったいどのような作品だったのでしょうか。

講談社刊『新宝島 手塚治虫文庫全集』のおすすめ点

現代は、書店や古書店へ行かなくても、希少本を読める便利な時代になりました。さっそく電子書籍版で読んでみました。

電子書籍版「新宝島」は版元(出版社・発行元)によって、いくつか異なった本が存在します。今回購入したのは、講談社刊『新宝島 手塚治虫文庫全集』です。

藤子不二雄が言う「まるで映画を観(み)ているみたい」という言葉に納得しました。(日経新聞のコラムではAとFのどちらか不明ですが)。

出典:『新宝島 手塚治虫文庫全集』

出典『新宝島 手塚治虫文庫全集』No.13/336,株式会社 講談社

宝島の地図をたよりに、ピート少年が海へとびだす冒険物語です。200ページの長編は、すべて4コマ漫画風のコマ割りで構成しています。しかし、単調さがありません。タッチは惚れ惚れするほど迷いがなく、美しい。セリフは少なく、ほとんど作画だけで物語っています。

ディズニーの無声映画フィルムを眺めているような躍動を感じてきます。複雑なコマ割りのマンガに見慣れてしまった目にも、新鮮で感動的です。

講談社刊『新宝島 手塚治虫文庫全集』は、「新宝島」以外にデビュー作「マアチャンの日記帳」、エッセイ「ぼくのデビュー日記」を収録しています。価格は756円。手塚治虫のデビュー当時の作品群を、丁寧に読み解きたい方には講談社刊がおすすめです。

手塚プロダクション刊『新宝島』おすすめ点と注意点

手塚プロダクション刊『新宝島』でも「新宝島」を読めます。価格は324円です。

手塚プロダクション刊の「新宝島」

手塚プロダクション刊『新宝島

講談社版よりも安いのが魅力です。当然のことながら、この版を購入していません。しかし、手塚治虫のエッセイ「ぼくのデビュー日記」未収録に注意が必要だと思いました。Amazonの読者レビュー記事では、次の言葉を多くみかけす。

「ぼくのデビュー日記」がなかった…

「ぼくのデビュー日記」未収録には、くれぐれもご留意を。「新宝島」だけを単に読みたいなら、おすすめです。

『新宝島』に感じたことのまとめ

70年前に描かれた作品とは思えないほどの画力に感動しました。私の持論は「始まり方は終わり方を暗示している」です。始まり方を見ると、その後、どのような運命をたどるのかも改めて見えてくる気がしました。すごいものは、はじめからすごい。

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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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