お誕生日、盆、お正月。冠婚葬祭。きっかけがあるからといって、自動的に人は集まりません。企画を立てて、呼びかけなければ。
大切な人と会うのは楽しいものです。けれど、スケジュール調整、お店の下調べ、移動…。実現にはエネルギーを使います。だから、会う場所は「特別なところ」を設定したいものです。たとえば、「誰それさんに会えるのも嬉しいが、うなぎも楽しみだ!」という具合に。モチベーションもより高まります。
とある集まりで、鰻屋(うなぎや)さんに集合しました。場所は阿佐ヶ谷にあります「阿づ満や」(あずまや)さんです。食通お勧めのお店でもありました。
これまで住んだ町で、鰻屋を見た記憶がありません。なじみのない鰻屋は「特別なところ」にほかなりません。心躍り、ワクワクしてきます。
時間になり、お店が開いたので入ります。今回は、うな重の「中」を頼んでみました。うな重のランクは、質ではなく量を意味します。お値段は3200円でした。
待つ間は、人との語らいを楽しみます。十数分後、うな重が運ばれてきました。
山椒をまぶして、うな重におはしを入れます。まず、柔らかさにびっくりしました。身から皮の部分まで、「すぅっと」おはしでほぐせます。
あたり前かもしれませんが、スーパーでパック売りの「かば焼き」とは、まったく違います。たいてい、スーパーの「かば焼き」は皮がゴムのように固い食感があります。鰻屋のうな重とは、冷凍した素材と新鮮なままのうなぎの違いなのでしょう。
脂がのっていますので、「中」の量で、成人男性の私はまんぷくになりました。小食な方なら、食べきれない可能性もあるくらいです。
自家製のお新香、うなぎのきものお吸い物(きも吸)も付きます。感動のうな重体験でした。
一人3200円ほどなら、特別な日のイベントとして、高すぎるハードルではないと感じました。3000円を飲み代にするなら、私ならうな重に当てたい。庶民の私が鰻屋を訪れられるのは年に数回です。だからこそ、鰻屋は「特別なところ」となり、ワクワクできるのです。
妻との休日デート、友人との語らいコースの一つに鰻屋を加えたいと思いました。
※記事中の料金は、取材時(2017年11月5日)のもの