たそがれて薄暗く、昼間に比べれば肌寒くなる午後5時。町のスピーカーから時報を兼ねたメロディーが流れます。この時間に流れるメロディーは、おしなべて物悲しいものです。
「夕焼け小焼け」、「赤とんぼ」、「故郷」、「シャボン玉」…。マイナー調で、憂うつになります。「こんな寒くて暗いところにはいたくない」。家に早く帰りたくなるのです。
ありえないことを、想像してみます。午後5時に町のスピーカーからローリング・ストーンズの曲「let’s spend the night together」が流れた大変です。
「夜はこれからだ」と。
ウキウキ、ワクワクしてきます。家に帰らずに、夜遊びに耽りたくなってきます。これでは、お家に人が寄りつきません。
だから、午後5時は物悲しいメロディーの方が良いのです。子どもたち、そしてお父さんやお母さんがお家に帰ってくるように。