禅のある生活

イライラしたときに、冷静になる方法を身につけたいと思いました。

英国のEU離脱、アメリカ大統領選挙、TPPといったマクロなニュース。ご近所、親戚づき合いから職場の仕事といったミクロな出来事…。世間の動きに心も揺れ動いていては、適切な判断ができないと思ったからです。

そこで手にしたのが禅の入門書で、スティーブ・ジョブズも愛読したという「禅マインド ビギナーズ・マインド (サンガ新書)」です。鈴木俊隆(すずき しゅんりゅう)さんは、曹洞宗系のお坊さんで、55歳でアメリカへ渡って禅を伝えました。本書は鈴木の死後、お弟子さんたちによってまとめられました。

世界が大きく動くと、自分の居場所がなくなってしまうのではないか、何かを失ってしまうのではないかと不安になります。こうした不安を感じると、私たちはそのイメージを振り払おうとしてしまいます。しかし、鈴木はこう言います。

心をなにかに集中させることが禅の真の目的なのではありません。本当の目的は、ものごとをしっかりと、ありのままに見るということ、すべてを起こっては消えていくままにしておく、ということなのです。これがもっとも広い意味で、すべてをコントロールする、ということです。

出典: 禅マインド ビギナーズ・マインド (サンガ新書), p66 

禅にとって大切なことは、(まるでiPhoneのデザインのように)とてもシンプルです。「呼吸に心を置き、正しい姿勢で座る」(p66)ことだと説きます。そして、座禅は「座っている」ことだけを指しません。

坐禅というのは、ベッドで寝ているとか、禅堂で坐禅をしているとかを越えているのです。あなたの奥さんかご主人が家で寝ている、それは坐禅です。もし「私はここで座っている、しかし私の伴侶は家で寝ている」と考えたりすれば、あなたはここで足を組んで座っていても、それは本当の坐禅ではありません。あなたはいつも、カエルのようにならなければなりません。それが本当の坐禅です。

出典: 禅マインド ビギナーズ・マインド (サンガ新書), p188 

座禅は座っているときだけでなく、オフィスで仕事をするために椅子に腰かけているのも座禅になるのだと思いました。

忙しくなったり、締め切りのある仕事をかかえていると、心のなかがザワザワしてきます。そんなときこそ、自分でも信じられないようなケアリスミスをしてしまう。そうならないように、本書の手にして以来、心がザワザワしてきたら、沈黙して、呼吸を意識する合図と捉えることにしました。いくつかの修羅場を乗り越えて今日にいたっています。

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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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