TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の協定書は、6300ページにも及びます。ちなみに広辞苑第六版の総ページ数は、3074ページです。
なのですから、この2倍!本書「アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!」は、元農水大臣の山田正彦氏ら専門チームが、この難解で広範囲の及ぶ内容を分析し、分かりやすく解説しています。
非常にお恥ずかしい告白をすると、TPPは単に関税が撤廃されるだけのものと思っていました。しかし、6300ページもある協定書が示すとおり、さまざまな思惑が複雑に絡み合っています。本書を通してTPPの全貌がつかめてくると、恐ろしさで寝込んでしまいそうになりました。産業への打撃は農業だけでなく、酪農や、漁業などへも及びます。遺伝子組み換え食品の表示義務がなくなるだけでなく、産地の表示義務もなくなる。だから、消費者はガンの危険があるものでも「安い」と喜んで買ってしまう。健康的な生活もままなりません。国民皆保険も脅かされ、医療を受けられなくなる可能性もはらみます。これでは、大切な家族も守れません。
TPPの狙いとは、いったい何なのでしょう。本書では、グローバル企業のロビイストたちが書き上げた世界の富を支配しようとする管理貿易協定であることを解き明かしてゆきます。金融や製薬など、巨大なグローバル企業の姿が見え隠れするのです。
日本は「アメリカの51番目の州」と揶揄されます。でも実際には、アメリカという国家ではなく、国家をも凌駕するグローバル企業の支配を色濃く受けているのではないでしょうか。金をつかまされた政治家たちが、国民のインフラであったり利益を喜んで差し出しているのかと思うと、怒りもわいてきます。