サブカルチャー界に多大な影響を与え、いまでも愛され続ける故・中島らもさん。淀みない名作を遺しました。一方で、ご本人が実際に語っている姿を見ますと、ろれつがあまり回っていません。文章とご本人とのギャップは、2001年9月4日に放送されたインタビューでも印象的です。
中島らもさんとは
中島らもさんは、小説家、劇作家、広告プランナー、ミュージシャン…と、多方面で活躍しました作家です(1952年- 2004年)。たとえば、朝日新聞の人生相談コーナー「明るい悩み相談室」では、ユーモラスな回答で好評を博しました。「焼きジャガイモ事件」という有名な逸話があります。
質問者から「祖母から焼きじゃがいもに味噌をつけて食べると死ぬと言われたが事実か?」の相談に、らもさんは「焼きじゃがいもに味噌をつけて食べた大多数の者が高確率でいずれ死に至る」と回答しました。
この回答で、不安と疑問の声が読者から寄せられる騒ぎに。らもさんとしては「人間なのだから、焼きじゃがいもに味噌を付けたものを食べようが食べまいがいずれ死ぬのは当たり前」という意図だったようです。この出来事は、らもさんが実際に焼きじゃがいもに味噌をつけて食べることで鎮静化しています[1]。
文章とご本人のギャップ
文章では能弁な語り口ですが、2001年に放送されたインタビュー[2]に答えるご本人のことばははっきりしません。お話の内容自体はもちろん興味深く面白いのですが。
インタビューのなかで、らもさんは「お酒がごはんで、クスリがおかず」と語っています。躁鬱病の持病に加え、17歳から飲酒をはじめたアルコール依存でした。
当然のことながら、もともと酩酊状態だったわけでありません。1992年にMBS(関西ローカル)で放送された「復活アップダウンクイズ」に出演しているらもさんは、歯切れの良い好青年ぶりを見せています。
https://www.youtube.com/watch?v=dAsbZatQmWMこのブログを書いている私には、アルコール依存の友人や親戚がいます。少々悲しい記憶もあります。
アルコールは、シンナー等の薬物と同じで、脳を溶かし、萎縮させます。脳に器質的な異常をきたします。断酒することで少しましな状態にはできますが、元には戻りません。
治療は、患者の意思だけでは不可能で、精神科(病院)へ入院する必要があります。参考までに友人はせっかく入院しても、退院すると、また酔っ払った声で電話をかけてきます。断酒の道のりは険しいものです。
まとめ
中島らもさんは、地頭が良いので、脳にダメージがあっても創作活動はできたのでしょう。しかし、症状が悪化すると、一般的な人なら廃人になってしまいかねません。
身近にいるアル中の人々を見ますと、酒に依存する人生は避けたいと思います。
【脚注】
- 中島らも – Wikipedia ↩
- ETV2001シリーズ 逆境からの脱出「酒に呑まれた日々 中島らものアルコール格闘記」(NHK教育) ↩