妻が7日間、海外へ出張に出かけた。男子一人で、家を守らねばらなぬ。久々の「独身生活」を満喫していたのかといえば、そんなことはない。
うどん玉とクラッカーが主食で、おかずは玉子ばかりとなった。怠惰な生活の3日目ぐらいから、体調が悪くなりはじめた。5日目の金曜日は、折しもイギリスがEU離脱を表明し、仕事場はてんやわんやの大騒ぎ。心身ともに、疲れ果てた。
6日目は土曜日。この日は特に予定がなく、眼精疲労と頭痛が酷くて、寝こんでいた。夕方、やっと快復して起き出す。夕日が差し込むだけの暗い部屋を見渡すと、まるで独身男子のすみかだ。散らかっている。むさ苦しい。風水の知識はないけれど、運気が下がっているのを実感した。
私は心を入れ替えて、えいやっと掃除を始めた。
窓を開けて空気を入れ換えて、床をワックスでモップがけした。家中のゴミを集め、冷蔵庫の賞味期限が切れた食材も捨てる。干したままの洗濯物をたたみ、収納。また新たに洗濯。タオルは漂白剤でまっしろ。観葉植物に水やりして、アロマディフューザーで部屋を香りでいっぱいにした。
そして、風呂に長く浸かった。二分づきで精米し、ご飯を炊く。具だくさんの野菜スープでご飯を食べた。お部屋がピカピカになったら、あらま不思議。頭痛が消えた。気分はとても良くなった。
ところで、トラブルが起こる「運気の悪い」家はニオイ環境も悪い。このようにアロマセラピストの成田麻衣子さんは指摘する。
ニオイ環境が悪い家は、家族内のケンカなども絶えない。だからといって、単に芳香剤を置いたりスプレーしても意味がなく、もっと根本的な改善をする必要があるという。
本当の「いい匂い環境」を作るためには、汚れたもの、壊れたもの、散らかっているものなど、マイナスの印象を与えるものを、まずなくすことが大前提(中略)。
住環境の匂いが悪くなると(中略)知らず知らずのうちに家にいることが息苦しくなり、疲れるでしょう。気がついたときには、家族のケンカが絶えない家になっているかもしれません。
出典:『幸せを引き寄せる「香り」の習慣』,126
掃除・料理・洗濯をこまめにすると、運気の悪いものが見えてくる。それは、良い匂いとは縁遠い何か。冷蔵庫に忘れ去られた野菜くず、たまった洗濯物、居住者自身が不潔だったりもする。それらマイナスの要素をこまめに取り除いてゆくと、ニオイ環境はおのずと改善してゆく。
7日目の日曜日、妻を迎えに羽田空港へ行った。帰ってきた妻は、整っている部屋を見て驚いていた。夫婦円満に、清潔なお部屋は欠かせないと思った。