【東京国立博物館でアート鑑賞】美術鑑賞は、健康のためのスポーツ

鈴木長吉作「鷲置物」の模写(イラスト:モクソン ホウ)

鈴木長吉作「鷲置物」の模写(イラスト:モクソン ホウ)

東京国立博物館(上野)に行ってきたのだけど、あまりにも建物がでかすぎて、すべての展示作品を見ることはできなかった。でも、結果的には非常に満足だった。だって、アートの力でこの日の歩数は、1万2000歩を突破したのだし。

上野にある東京国立博物館には、飾られているアート作品を単に観る以外にも、面白い魅力がたくさんある。眺めの良いバルコニーで日本庭園を眺めていると、心が癒やされる。天井が高い休憩室もいくつかあり、しかもそこには座り心地の良いソファーが用意されていた。館内の休憩室は、人の足音と、ソファーで寝入った人のイビキが響き渡っている。

博物館美術館は、お行儀よくしていれば制限時間はないので、まるで温泉銭湯で湯に浸かる楽しみに通じる。作品を観たら、座り心地の良いソファーで休み、そしてまた観るのである。

いまの時期、最大の目玉はやはり黒田清輝の企画展だろう。私は、作品よりも、彼の華麗なる経歴にビビってしまった。明治時代にフランス留学をした黒田清輝。彼はボンボンだったのではないのだろうか?こんなこと、庶民はできたのだろうか?そもそも、この時代、海外送金はできたのだろうか?当時の世界経済は、いまと違って金本位制度だったはずだから…金でも持っていったのかな。なんて具合に、アートの話ではなく経済の話に関心が向いてしまった。彼の絵は、おっぱいの絵から、爆発している桜島まで盛りだくさんだった。

常設展も面白い。大男の上半身ぐらいの大きさはある鈴木長吉作の「鷲置物」(わしおきもの)という工芸品があって、私は妻に「こういう置物、玄関に飾っているお家ってあるよね」と言うと、「あるある木彫りの熊とか」みたいな、まったく不謹慎なことばかり語りあった。これらの工芸品は博物館や美術館で観るとありがたく思えるが、もしも我が家を占領していたら、おそろしいほどストレスがたまることだろう。こっちの「小さなハトの木彫りの工芸品なら置けるね」など、所帯じみた会話ばかりしていた。これがこれで結構、アートを身近に感じて、1日を非常に楽しくする。

来月も軽い運動を兼ねて、上野で美術館めぐりをしよう。次の目標も、1万歩越えだ。

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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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