ビートルズであれ、ローリング・ストーンズであれ、デビュー前夜の逸話には胸が騒ぎます。
今回取り上げるのはレッド・ツェッペリンです。ここでは「まだレッド・ツェッペリンではない」フライング気味の曲をご一緒に聴いてみましょう。
まずは、ジェフ・ベックの曲です。彼の名盤に「トゥルース」(1968年)があります。
このアルバムは第1期ジェフベックグループ(1967〜1969年)が作りました。ボーカルはロッド・スチュアートで、ベースはロン・ウッドが担当しています。
ところが、「BECK’S BOLERO」(ベックス・ボレロ)という1曲だけは、全く違うミュージシャンたちが演奏しています。びっくり仰天する豪華なラインナップです。
リズムギターはジミー・ペイジ、ベースギターはジョン・ポール・ジョーンズ、ドラムスはキース・ムーン、キーボードはニッキー・ホプキンスが担当しました。
このセッションでキース・ムーンが言います。
「もしも俺たちが今いるバンドを辞めたら、きっと向こうは鉛の気球みたいに急降下するだろうぜ」
この言葉はのちのち、「Led Zepperin」のネーミングの伏線になってゆきます。
キース・ムーンは見せ場も作ります。中盤で突然絶叫し、ザ・フーそのままのスタイルを演じます。もしもツェッペリンのドラマーがボンゾじゃなくて、このキース・ムーンだったなら…。想像すると胸が高鳴ります。
つぎに、フォーク界のレジェンド、ドノヴァンの曲です。1968年に録音された名曲「Hurdy Gurdy Man」には、なんとロバート・プラント以外のメンバー3人が参加しています。ジミー・ペイジ、ジョンジー、ボンゾによって生み出されるサウンドは、初期のレッド・ツェッペリンそのものです。
レッド・ツェッペリンのボーカルがドノヴァンだったなら、アシッドフォークのバンドとして成功したことでしょう。
楽しい想像は、このあたりでおしまいです。翌1968年に、レッド・ツェッペリンは、爆発するヒンデンブルク号のジャケットをひっさげてデビューすることになります。その後の快進撃は、ご存じのとおり。以上からツェッペリンは始まる前から、すでに格好良かったのでした。
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