結論を言いますと「評価が定まった一流の作品を定期的に鑑賞すること」を楽しむということ。
絵は「読む」ものであり、読むためには「椅子」が必要だ!
ベストなことは、評価が定まっている、または大好きな美術作品を購入し、部屋に飾ることなのでしょう。美術評論家の坂崎乙郎も、一枚の絵を理解するためには、一つの椅子が必要だと言っています。
絵は「見る」ということももちろん大切だけれども、できるだけ絵は「読まなければいけない」ということなんです。これが私の美術史、あるいは美術批評の方法論です。モナ・リザの展賀会を、一人五秒で見るなんていうのはたいへんな間違いです。モナ・リザを読むのには、一つの椅子がいります。絵は「読まなければいけない」。これが私の考え方です。さらに、読んでいく過程でまちがうことなのです。まちがって、ああ自分はまだやっぱり足りないんだと反省することです。
出典: 『絵とは何か』坂崎乙郎/河出書房新社 p.116/
とはいえ、絵を購入して飾るには、お金だけでなく壁にも余裕がなければなりません。そういうわけで、私たちはお金を払って美術館へ通います。いかんせん、お金を払っているものだから、元をとってやろうと、足早にすべての絵画を回ってしまいがち?短時間のうちですべての絵画を理解することは不可能です。その場の直感で、大好きだと思った絵の前でじっと鑑賞していると、その作品から多くのメッセージを受け取れると感じます。という意味で、美術鑑賞は一目惚れの恋に似ているかもしれませんね。
ホテルオークラ東京で開催中の非常の名品アートコレクション展「美の宴」で、素晴らしいと思った作品を挙げてみたいと思います。
「百福之図」藤井松林
大人になるにつれ、子どものように泣いたりしなくなりましたが、同時に子どものように心の底から笑うことも少なくなった。大量のお多福と布袋さんたちが、画面いっぱいに笑っている。こんなすごい絵を描くためには、描いた人自身が豊かな笑い方のできる人じゃないと描けないことでしょう。藤井松林という人は、きっとこの絵に描かれているお多福や布袋さんのような人だったに違いないと思った?!
私は、腹の底から笑ったのは、いつだったろう?世相は暗く、人生の戦略や、貯金やお金の勘定に余念がない。晴れやかに笑える日が訪れたとき、私も邪気のなく微笑む絵が描けるようになれるに違いないと思った。このように、美術館に行くと、いろいろな刺激を受けるのです。美女をデートに誘い出すことも兼ねて、月に一回以上は、必ず美術館に必ず通うことを決心したのでした!
チャリティーイベント【美の宴 ~ 琳派から栖鳳、大観、松園まで】
開催期間/2015年8月3日(月)~8月20日(木) 18日間
時間/9:30~18:30(最終入場は 18:00まで)※8月3日(月)のみ12:00かの開催となります。
会場/本館1階平安の間 ホテルオークラ東京へのアクセス
入場券/■一般 ¥1,300(前売券 ¥1,000) /大学・高校生 ¥1,000(前売券 ¥900) /中学生以下 無料