若い頃は分からなかった「スカスカのサウンド」の心地よさ
XTCの素晴らしさが、おっさんになって分かった。今後の人生は、XTCで決めたいくらいだ。四十過ぎれば元気いっぱいってなわけにもいかず、とはいえ病気なわけでもないのでとっても元気なんだが、この元気だけどけだるい…この中年独特のテンションは、XTCがぴったりなんだよなあ。
ビートルズやビーチ・ボーイズといった英米問わずオールディーズなポップスやサイケデリック・ロックなどからの幅広い影響をもとに、その活動を通じてポップミュージックのオルタナティヴな可能性を追求した。独特のポップセンスとこだわりに満ちたアレンジを志向しながらポップス・ロックとしてのフォーマットを損なわない大胆なアプローチは、のちのブリットポップ・ムーヴメントにも大きな影響を与えた。
引用:Wikipedia
人生はアンニュイ!
XTCの話からはなれるけどさ、ちょっとオレの話を聞いてくれよ。40歳を過ぎて、心身にアンニュイ。「ああ、ほんと人生って、短いんだな〜」みたいな哀愁を日々感じる。人生、そんなに楽しくもないけれど、かといって悩むのも面倒くさい。若いころなら、とことん悩んだろうけど、悩んだところで人生に答えなんかありゃしない。哲学者ウィトゲンシュタインも、こんなことを言っているぞ。
答えが言い表し得ないなら、問いを言い表し得ない。 問いが言い表し得るのならば、答えも言い表し得よう。
私の毎日は、笑うことも少なく、まして泣くこともない。日々、無表情。
こんな調子で日々元気に生きているわけで、このロー・テンションでXTCの薄っぺらい空元気なサウンドが、実にぴったりくるのだ。
思い返せば90年代、私が20代の頃に仲良しだった30〜40代の書籍編集者のおじさんは、自らの書籍編集の仕事をそっちのけで、XTCのミニコミを作っていたのが謎で仕方なかった。でも、いまは、少し分かる。
20代30代の頃は、このサウンドの心地よさが理解できなかった。同じことは、POLICEやスタイルカウンシルなどにも言えるかも(ふる〜)。アンディ・パートリッジの、軽めのオーバードライブのギターサウンドは、いま思えばアンディ・サマーズのセンスにも通じるものを感じる。
キングクリムゾンのような重いサウンドを仕事の前に聴くのはしんどいし、かといって「頑張れソング」を聴くのも疲れる。気分はアンニュイし、それでも仕事に行ってぼちぼち仕事をするぞ〜という全国の平均的なおじさんの気持ちには、XTCがぴったりくるし、仕事もはかどるのである。