公園に実っている夏ミカンを食べたら

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撮影・筆者/LGL21

 大学生だった頃、公園に実っている夏ミカンを食べたことがあった。レモンのように酸っぱくて、とても食べられたものではなかった。それ以来、公園や庭木の柑橘類は、すべて酸っぱいものだと思っていた。そんな今日、庭木として植えられていた夏ミカンを頂いた。食べてみた。

  

 いまから、20年以上も前のこと。重度身体障害者の介護ボランティアをしていた。障がい者は、当時の私と同じ20歳台前半の青年だった。詩人でもあった。私が置かれている立場は、派遣社員とクライアントの関係と似ていた。ここでのクライアントに位置するのは、もちろん障がい者の青年の方である。

 障がい者の青年を車いすに乗せ、押しながら、散歩へ公園に行った。そこには、夏ミカンが枝がたわむほど実っていた。青年は、ミカンの木を見て、私にこう言った。

 「あの実を穫って(盗って?)きてください」

 クライアントの命令は絶対なので、私は木に登った。そして、一つの夏ミカンを、もぎ取った。そして、厚い皮を剥いて、青年と分け、公園で食べた。二人で一粒二粒食べてみて、その酸っぱさに驚いた。とても食べられるようなものではなかった。当時の私たちは、“東京で植えられているミカンは、すべて酸っぱいもので、すべて食べられないに違いない!”と結論づけたのだった。

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東京のミカンは 人生の甘酸っぱい香りと味がした

 今日は、妻とデートをした。東京中を歩き回って、クタクタになって帰ってくると、集合住宅の入り口に夏ミカンがおかれていた。

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 一階の庭に植えられていた夏ミカンのようだった。私は、古い経験から、酸っぱくて食べられないだろうと思った。すると、甘酸っぱく、なんと美味しいことでしょう!心底、びっくり!モリモリ食べてしまった。

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 調べてみると、夏ミカンの味わいの秘密は、土地ではなく、収穫される時期が問題のようだ。

 初夏、夏ミカンは他のミカン類と同様に晩秋には黄色く色付きますが、その時点では酸味が強すぎて食べられません。冬まで待って収穫し、貯蔵して酸を抜くか、春先から初夏まで木成りで完熟させる事で酸が抜け食べられるようになり、初夏の時期に食べられるミカンと言う事で夏ミカンと呼ばれるようになりました。

出典:旬の食材百科「ナツミカン

 私が食べたのは、昨年収穫されずに、木に実ったままの夏ミカンだったかも。とにもかくにも、私は認識を改めたのだった。

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 香りも素晴らしく、気分もリフレッシュ。クタクタになった体は、酸っぱい味わいを求めることもあります。人生の疲れを癒やすあなたのオアシス、それは夏ミカンかもよ!

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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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