アーティストの渡辺ユキヲ氏より、興味深い写真集をお借りしました。鉄道写真家にして写真作家・中井精也氏の『DREAMTRAIN』です。
駅や車内で出会う人々に声をかけ、シャッターを切った仕事が編まれています。人々の顔は穏やかで、その土地の生活を垣間見ることができます。旅人を快く歓迎しているようです。中井氏のカメラを通してみえる、人生のルポルタージュです。
職業と夢は違います
私たちが「職業と夢は違う」と言うときは、夢のような目標を批判するような言い方をすると思う。しかし、中井さんが取材した少女はこう答えている。夢は明るく生きてゆくこと。
これに対して、中井氏はこのように驚くのでした。
看護師、宇宙飛行士、カメラマン、etc…
ぼくがいままで夢だと思い込んでいたものだけが、夢じゃないと気づいた。
(p.119)
職業が夢だとすれば、私たちの夢はすでにかなっているかもしれません。しかし、その夢は、言い方を変えれば希望の職種に就くと終わってしまいます。もしくは、夢がかなったはずなのに、必ずしも人生が明るくないと感じることもあるかもしれません。少女が言う楽しく愉快な人生を送ることは、ずっと先にある究極の目標とも言えるかもしれません。
鉄道と人生が写真におさめられた温かいルポルタージュ
少女が求める夢は、自分が自分に対して善しと言えるものなのでした。だから、写真から感じる少女の姿も、どこかしら女神のように見えます。
このような少女の姿も、大人になるに従って、いつしか変わってゆくかもしれません。
さまざまな人生が詰め込まれた素晴らしい写真集。という意味では、この写真集は、鉄道写真だけにとどまらない意味を持っていると思います。多様な人生像がおさめられた、ルポルタージュだと思いました。
レイルマン中井の1日1鉄!-中井精也 さんのブログ
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