巨人・島耕作は存在するだけで人生の交差点を表現する

  

 アニメの「進撃の巨人」が人気である。

 巨人に食われ、不条理に死んでゆく人間たち。誰が味方で誰が敵なのかも分からない、そんなシリアスさを含むストーリーだ。劇中に多くの謎かけや伏線が忍ばされていることも魅力の一つでもある。巨人とは何なのか…。

 回を重ねるにしたがい、登場する巨人のバリエーションも増えてゆく。超大型巨人、鎧の巨人…、そして巨人・島耕作である。

 なぜ島耕作が巨人化したのか、劇中に説明は一切ない。その説明のなさこそが重要だ。なぜなら、この世界は謎そのものだから。

 巨人・島耕作は存在するだけで人生の交差点を表現してしまう。そんな男の哀愁が、この巨人の魅力である。この巨人は、むやみに人を食ったりはせず、新橋や水道橋で酒を酌み交わすことを望む巨人である。島耕作は、巨人になってもサラリーマンであった。

 

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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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