風景画家・藤岡祥司さんとは、いまから4年ぐらい前にミクシィで知己を得ました。「独学」の画家ということで、親近感を感じさせてくださった人生の先輩でもありました。藤岡さんの油絵とは、偽りのないナイーブアートであり、素朴で飾りのないあるがままの世界が描かれていました。
藤岡さんの主なモチーフは、階段に思えます。どこかへと通じる階段の途中には、誰かが待っているような予感さえ抱かさせてくれました。は、画家自身が抱いている情景でもあるのでしょう。多弁になりがちな自分の作風とは違い、寡黙で慎ましい世界に感じます。
藤岡さんからは、アーティストとして生きるための、具体的なアドバイスをいくつかいただきました。その一つは、絵を売る努力をすること。もちろん藤岡さんがおっしゃる絵を売る努力とは、お金の亡者になりなさいということではありませんでした。地道なプロ意識をもちなさいということだったように思えます。そして、それを自分なりに実行しようとして、今日に至っています。
具体的な芸術家像をわたくしは、藤岡さんから学んだような気がしています。そして、色あせない絵画作品を残されたことにも、尊敬を抱いています。
わたくしには師匠に相当する方はいないのですが、藤岡さんやそれに相当する画家先輩たち、そして友人たちがいまの非力ながらの自分を形作ってくれていることに感謝せざるを得ません。という意味では、藤岡さんは、いまの自分を形作ってくれた師匠の一人と言うこともできます。
闘病生活を綴る日記のなかでも必ず「元気です」という言葉が付されていることに、とても尊敬するべき姿を感じていました。
人としての生き様、アーティストとして後進(わたくしのこと)へ残されたアドバイス、そして絵画作品は、今後も残り生き続けることとは疑いようもありません。
謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。
藤岡祥司の四季の風景画・油絵