ぼうこう破裂、1年間の入院生活 家に帰ると恋人はすでに去り……

重傷を負ったD助さんは1年間の入院生活を経て、家で引きこもるようなった(写真はイメージ)

暑さも和らぎ、秋の気配も感じるようになった東京都内の8月24日、妻と青果店へ買い出し行った帰り道。目前にご近所の奥さんがいるのを見つけ、妻が奥さんに「D助さんはお元気ですか」とごあいさつをしました。

D助さんとは奥さんのご家族(推定40代)で、1年前に高所からの落下事故でぼうこう破裂、骨折等の重傷を負いました。1年間の入院生活を経て、今年の夏に退院したものの、お散歩好きだった性格はうってかわり、おびえや怖がりが強い気質に変わりました。家からは文字どおり一歩も出ず、引きこもり生活を続けています。

D助さんにはみーちゃんという恋人がいたものの、彼氏の退院に喜ぶ様子を見せません。いまでは、どこの誰だか知らない男を夢中で追いかけています。みーちゃんの薄情さにご近所の奥さんも驚きあきれた様子でした。この話を一緒に聞いていた妻は「みーちゃんもやっぱり女なんだなあ」とつぶやきました。

引きこもり生活を続けているD助さんでありますが、家の中が安泰なのかと言えばそうととも言えず、室内犬が多数飼われているものだからワンワン吠えられたり威嚇されたりで心落ち着かないようです。ストレスから円形脱毛の症状も表れる悪循環に陥っています。その一方で、この居心地の悪さこそが外の世界に気持ちを向けさせる要因として機能もし始めているようでした。

ご近所の奥さんは「今後の生き方は彼自身が決めなくてはならない。時々、窓の外を見て物思いにふける様子を見せるようになった。前向きな兆候だ」と悲劇に対し、今後に期待を込めて語っていました。

びびりネコのD助さんは今年で8歳。人で言えば48歳[1]、まだまだ現役です。心変わりした地域ネコのみーちゃんを振り向かせることができるかに、ご近所近辺では関心が集まっています。

妻は言いました。「1年ぶりに帰ってきたのはいいけれど……。みーちゃんはすっかり忘れているみたいだね。ネコの記憶力ってどれくらいなのかしら」(参考、D助さんを巡る過去の関連記事


【脚注】

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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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