勉強に、基本書えらびは大切です。哲学者の千葉雅也さんも『勉強の哲学』のなかで、基本書を揃えることを勧めています。
専門分野に取り組むにあたっては、入門書に加えてその分野の教科書、あるいは「基本書」と言えるものを買っておくことをお勧めします。最初の段階では、これらは読み通すのではなく、あくまで入門書の理解を深めるための「事典」として使います。
千葉雅也.「勉強の哲学 来たるべきバカのために」(文春e-book)(Kindleの位置No.1709/2356).文藝春秋.Kindle版.
実際に会うのは難しい人を、本を通して、自分の師匠にしてしまう。これを「私淑する」なんて言ったりしますよね。基本書えらびは師匠えらびでもあると思います。基本書は「事典」でもありますが、閑なときに読み返し立ち返る場所。
私にも、それぞれのジャンルで基本書があります。経済なら、池上彰さんの『最新版 (図解)池上彰の 経済のニュースが面白いほどわかる本 』(中経の文庫)も、その一つです。池上彰さんに、実際に会うことは難しいですが、私淑することはできます。
数年前のこと。縁あって、政治・経済・金融にかかわる仕事をはじめました。私の理解は、高校「政治経済」の教科書レベルにも達していません。勉強をはじめたわけです。
さまざまな入門書を乱読したなかで出会ったのが、あの池上彰さんのコンパクトな著作です。この本をどれほど読み返したか知れません。書かれている基本用語を頭にたたみ込みました。
「景気」のしくみ、産業の空洞化、「金融」のキホン、税金、株、債券、国債、世界経済、アベノミクス、TPP、日銀の政策金利、日本の借金…。どれもが、大切なお話です。
私の手元には、文庫本版・Kindle本版の両方があります。版によって内容は、若干異なります。たとえば、2012年発行の文庫本には「株式持ち合い」の面白い話を読めます。無能な経営者たちの天国の話でした。
この本で経済のイロハを学び、その後、さまざまな経済本を読みました。日経新聞の「きょうのことば」と、その関連記事を読むのも日課です。いまでは日経新聞のマーケット総合1面2面にある経済指標もある程度は読めるようになりました。
味を占めた私は、「面白いほどわかる本」シリーズを基本書しました。『[図解]池上彰の 世界の宗教が面白いほどわかる本 (中経の文庫)』、『(図解)池上彰の 政治と選挙のニュースが面白いほどわかる本 (中経の文庫)』、『(図解)池上彰の ニュースの基本が面白いほどわかる本 (中経の文庫)』の4冊です。実は、このなかに妻も同じ本を読んでいて、驚いたこともあります。それくらいよく売れている本なので、すでに手にとられた方もいらっしゃるかもしれません。
とはいえ、この本が誰かにとっても、私と同じような基本書となりうるかは分かりません。基本書との出会いも、人との出会いと同じで、しかるべきタイミングがあるでしょうし。は、重要な本です。仕事の理解が変わったのですら。
基本書の価値は、読んで分かってなんぼ。読んで分からない本は、基本書とはいえない。基本書でつまづくと、前に進めなくなる。一方、人や本で素晴らしい出会いがあったなら、人生や世界の見え方を変えてくれます。
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