「でんちゃ〜ん」
もうすぐ日付が変わる真夜中。仕事帰りのオヤジがネコを見つけた。気をひきたい。猫なで声でネコの名前を呼ぶ。しかし、ネコの態度はつれない。
地域で溺愛されている老ネコである。いつも同じ場所にいる。駐車場の同じ車の上。赤いリボンの首輪に、地域住民からの愛されっぷりがうかがえる。
オヤジはiPhoneで写真を撮り、同じくでんちゃんのファンに写真を送った。
不機嫌なネコでも、こっちを向いてくれただけで嬉しい。そんなガラスのハートのオヤジ心であった。
オヤジは思った。でんちゃんはいつ眠っているのだろう。