日本経済新聞の景気指標を読めるようになるために

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経済を教えてくれる専門家が周囲にいない

私の祖父と祖母は、仙台の町外れに小さな所帯を構えていました。物心ついたときには、ほぼ年金だけで暮らしをしており、近所の子どもたちのために書道教室を開いていたのを覚えています。

そんな好事家の祖父は、現役時代に証券マンをしていたらしい。「らしい」と書いたのは、このことを知ったのは、彼の死後だからです。経済に関する言葉は、彼から一言も聞いたことがなく、私は祖父の専門の影響をまったく受けずに育ちました。

日経新聞の景気指標を読めるようになる

経済や金融の言葉がふつうに交わされる生活環境でなければ、それらに親しみを持つことは難しい。祖父が私の先生ではなかった以上、自分で先生を探すしかありません。そこで出会ったのが、小宮一慶さんの『日経新聞の数字がわかる本』です。日経新聞の景気指標欄の解説に的を絞った良書です。

小宮一慶さんの著書はいくつか拝読しましたが、本書は小宮さんの真骨頂です。本書が出版されたのは、2009年ですが、現在でも古さはありません。下の写真は、2016年11月21日月曜日付の日経新聞朝刊の景気指標ですが、本書の解説と併せて読んでも十二分にナビゲートしてくれます。

2016年11月21日月曜日付の日経新聞朝刊

2016年11月21日月曜日付の日経新聞朝刊

さまざまな指標を分かりやすく解説

筆者は、さまざまな指標の目安となる数字を解説します。たとえば、GDPならこんな具合です。

たとえば日本のGDPがだいたい五〇〇兆円ということを知っていると、日本の中長期の財政赤字が、国と地方を合わせて八〇〇兆円あると言われたときに、「八〇〇兆円というと、GDPの一・六倍か」と思うことができます。

出典: 日経新聞の数字がわかる本(著)小宮一慶、日経BP社、2009

本書を片手に、月曜朝刊の経済指標欄を読み解いていると、世界のありようと動きが具体的につかめてきます。ポイントは、数値と数値の関連づけて読むことだと筆者は説きます。

はじめは本書だけを読み、二回目からは本書を片手に日経新聞を読み解きました。未来のストーリーや仮説も思い描くのは楽しい。

本書は筆者の仕事が集約されているので、最初に手にしたい良書です。

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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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