元気で老いない仙人になるための5つの方法【葛洪の『抱朴子』】

不条理な世の中でかすみを食って生きる?(イメージ)

不条理な世の中でかすみを食って生きる?(イメージ)

世界中で起きる無差別テロ、日本では障がい者施設での大量殺人、地下アイドルを狙ったストーカー事件、高校生に理由もなく刺殺された主婦…。暗いニュースばかり見聞きしていると、どうしても気が落ちてきます。とかく、世は不条理。この世の中をタフに生き抜くために、どうしたらよいのでしょう。

仙人になれば、いつまでも元気でいられ、老いることがない。このように説いたのは、古代中国の思想家・葛洪(かつこう)でした。300年ごろ、西晋・東晋時代の中国で活躍した、道教の研究家です。

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画像:葛洪/『列仙酒牌』より[1]

そもそも古代中国では、海のかなたに不老の仙人たちが住む理想郷があると考えられていました[2]。そこへ、葛洪は仙人になるための具体的な条件を説いたのです。

画像:八仙渡海図

画像:八仙渡海図[3]

漢方薬・鍼灸の健康保険適用の運動に取り組んだ医師の木下繁太朗さんは、著書で、葛洪の「仙人になるための5つの条件」を紹介しています。

①くよくよと考えすぎず、外の問題にあまり耳を貸さないこと(精神的ストレスを避ける)、枯れ木 のように座って無心になる。
②生臭いもの、穀類を食べないようにして、腸の中をきれいにする。
③仙薬(漢方薬の一種)を服用する。
④房中術を行って、精を漏らさないようにする。
⑤特殊な呼吸法(調息法)を身につける。

出典:『クスリになる野菜・果物 』木下繁太郎著、主婦と生活社、1993年、p19

③の「仙薬」とは、クコ、ゴマ、サルノコシカケといった、漢方薬の一種です。

①の「くよくよと考えすぎず、外の問題にあまり耳を貸さない」。この教えは、個人的な経験からも、納得しました。いまも現役で活躍する90歳代の人生の先輩(ある会社の会長様)から拝聴した処世術に重なります。

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④の「房中術を行って、精を漏らさないようにする」の房中術とは、セックスのことなのですが、これは江戸時代のお医者様である貝原益軒の「接して漏らさず」という言葉にも通じます。

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つまり、いつまでも元気で、健康に生きる条件とは、普遍的な意味を持つほど、国や時代を超えて共通してくるようです。仙人になることとは、現代人にとっては、健康に元気で過ごすことと言えそう。

貝原益軒へ興味も拡がってきました。暗い時代を乗り切るために、タフに生きる術を身に付けたいものですね。

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【脚注】

  1. Ge Hong(葛洪)was a minor southern official during the Jin Dynasty (263-420), best known for his interest in Daoism, alchemy, and techniques of longevity.published in 1923. Author:Hannah
  2. 『事典・哲学の木』、講談社、2002年、105
  3. Werner, E. T. C. (1922年) Myths & Legends of China、New York City: George G. Harrap & Co. Ltd. (Project Gutenberg eText 15250)
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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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