【エンゲージ】編集者もライターも、数字だけに目を向けるのは危険

編集者もライターも、エンゲージ(数字)に幻想を持つのは危険なのことだと思う。

ウェブメディアは、バズる記事を配信さえしていれば良いのでしょうか。「バイラルメディアのアプリ、飽きたから削除しちゃった」なんて話も、私の身の回りでは聞こえてきます。みなさんは、どうですか?

バズる記事を書くには、コツがあります。思いつくままに、バズりそうなネタを列挙してみますね。

    FacebookやTwitterのシェア数、YouTubeなどの再生回数などで、数字的な実績がすでにあるコンテンツ
    芸能関係のお祝いネタ
    犬やネコのネタ
    動物愛護のネタ
    ナショナリズムを煽るネタ
    炎上系のネタ

などなどです。

バズる記事を書くこと自体は、ネタ探しの上手なライターが一人いればできます。言い換えると企画力がある編集者というものは不要です。したがって、「このメディアに「編集長」は存在しないのでは?」と感じてしまうような、まとまりに欠けたバイラルメディアが現れる理由となっています。

そもそも、なぜバズる記事が必要なのかといえば、広告収入に結びつけるなど、企業として当然の営利活動があるからです。しがたって、編集の現場にいない経営者は、バズったかどうかに評価を見がちかもしれません。それは、役務として当然ではあります。

バズる傾向の記事が集まりすぎると、似たり寄ったりな話題ばかりになります。新聞でいう社説に相当するものは皆無なので、メディアとしての主張にまとまりもありません。読者は記事が面白いと思って立ち寄っただけで、メディアやライターのファンではないために、このようなメディアからは、いずれ立ち去ってしまいます。だから、編集方針を打ち出す編集長が存在していないメディアは、いずれ衰退するリスクを抱えています。

この点、バイラルな記事を上手に扱っているメディアは、ハフィントンポストではないでしょうか。ハフィントンポストのアイデンティティは、言論的な価値があるニュースメディアなのだと思います。固い記事ばかりでなく、犬とかネコの動画といったような、面白系の短い記事も配信してきます。そして、本来、読んでほしいニュースや言論系の記事に読者を誘導しているように見えます。ハフィントンポストにとって、バイラルな記事は、目的ではなく手段なのです。

「いいね」もユニークユーザー数の獲得も、とても大切です。記事やライターやメディアへの評価を含んでいるので、数字を追うことは続けるべきです。同時に、会社ではなく、メディアとしての成熟にも目を向けるべきなのだと思います。戦略に基づいた挑戦には、短期間に数字が表れないような領域でも、中長期的な成長へのまなざしを含む「投資」なのかもしれません。

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この記事を書いた人

法政大学文学部哲学科卒。編集関係の業務に従事。金融、教育、スポーツなどのメディア運営に携わる。FP2級、宅建士。趣味は絵画制作。コーヒー、競輪もこよなく愛す。

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