俳優藤岡弘さんのコーヒーの淹れ方は珍しい。このような評判を耳にすることがあります。たしかに、藤岡流コーヒーの作法は基本的な淹れ方とはかけ離れています。コーヒー愛好家にとっては貴重な研究対象になりそうです。
藤岡流コーヒーの淹れ方
お湯を散らす
藤岡弘流コーヒーは、30分かけて抽出します。粉があるペーパーの中心にお湯を注いでいるようすはありません。ペーパー全体にお湯をかけているように見えます。
一般的には「蒸らし30秒程度」「抽出は3分以内」「ペーパーフィルターに直接お湯はかけない」が基本と言われています。抽出に3分以上の時間をかけてしまうと、雑味や苦みやエグ味、酸味など「おいしくない」成分まで抽出されてしまうからです。
念を込める
30分かけて抽出したコーヒーは、おそらく雑味やエグ味などがすると思われます。これらをなくすためなのでしょうか、藤岡流コーヒーは他に例を見ない特徴的な作業が加わります。
その一つは「ありがとう」や「おいしくなれ」と念を込めることです。
「ありがとう」は、ビジネスでもプライベートでもスムーズなコミュニケーションをもたらす潤滑油。しかしながら、あまりにも連発しすぎると「許し」を強要してしまいかねず、使い方には気をつかうものです。藤岡さんの場合、こうした「ありがとう」とは少々違った趣があります。祈るように唱えるところが特徴的です。
茶センで「立てる」
茶センでコーヒーを「立てる」ことも他に例をみない特徴と言えます。カプチーノのようなまろやかな味わいをもたらす効果がありそうです。
藤岡流コーヒーはどこにゆく?
逆風にさらされかねない藤岡流の珍しいコーヒーの淹れ方。そこには、茶センを再定義するような「新しさ」を発見できるでしょう。
その一方で、疑問もやはり感じます。藤岡さんが追求するのは「美味しいコーヒーを淹れること」なのか、それとも「人生の修行」なのでしょうか。コーヒーとは別の話になってしまう可能性も感じてきます。