盆栽は、お年寄りの楽しみだと思っていませんか?! 優れた盆栽からは、ロックを感じることもできます。ここでは、画家であり、イラストレーターであり、デザイナーでもあるロジャー・ディーンの仕事を思い出しながら、盆栽の話をしてみることにします。
新緑盆栽展(ホテルオークラ)の東洋美
ホテルオークラで、新緑盆栽展(5月6日まで)を観ました。枯れた美学はブルースに通じます。ブルースからロックが生まれたように、盆栽からポップアートへも転用可能なアイデアが秘められている。
盆栽は、おとぎの国
自然界にありそうで、なさそうな造形美。盆栽の魅力は、植物観賞ではない。塑像・彫刻と同じ、立体アートなのです。 盆栽で時折観られる曲線美は、イエスの7作目のアルバム「リレイヤー (Relayer) 」のアルバムジャケットを彷彿させます。人工物・自然物なのか、判断のつかない世界観が面白い。
ロックの詫び寂び
顔にしわが刻まれるように、雪や雨を耐えた木々の姿も複雑になるだろう。変形したり、朽ちること。それは、案外格好いい。 年輪を重ねた木々は、知恵を象徴しているようです。空気遠近法で描かれた青い遠景。人工物なのか自然物なのか判断つきかねますが、インテリジェンスで不思議な景色。 雪に埋もれる木々。雪の重さは、木々に歴史の跡を刻むでしょう。冬だけど、強い生命力を感じます。バジャーの「One Live Badger」のアルバムジャケット。ロックのアルバムだけど、枯れた格好良さ。
不幸はブルースの隠し味
不自然な姿勢で立つ孤高の木。しかし、その姿からは孤独も悲しさも感じません。 ゲームソフト「ATARI LYNXSHADOW OF THE BEAST」のために描かれたイラスト。孤独感は、その世界を理解できなかったり、属せないことから生じるものでしょう。この絵のなかの住人たちには、何を言っても話は通じない気がする。
ロジャー・ディーンまで繋がる世界
東洋的美とロジャー・ディーン
画家であり、イラストレーターであり、デザイナーでもあるロジャー・ディーン。「Yessongs」で描かれた世界は、どこかしら暗いけれど魅力がある。ライバルのイラストやデザインと差異化するために、東洋的な美に目を向けたのでしょうか。ただ、それだけでもないような気もします。多くの作品に、共通して表れる世界観なので、きっと東洋的美が大好きなのでしょうね。
植物たちが発するクリーンな空気(これは「マイナスイオン」?)は、楽しい気持ちで鑑賞することを助けます。次はどこの盆栽展に行くか、ワクワクとチェックする日々なのです!